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小ネタ集

健康情報小ネタ集

肝心要の肝臓病対策 Part-2

パート1では肝臓の特徴と診断法について解説しました。
知らず知らずに疲れやストレスがたまってしまう肝臓...肝臓疾患と言っても様々で、肝炎ウイルスに感染して発症する急性ウイルス性肝炎や劇症肝炎、その延長上にあるとも言える慢性肝炎、薬剤に対する過敏症と関係して発病する薬剤性肝炎、毒物による中毒性肝炎、アルコール摂取によるアルコール性肝炎、飲食が関係する脂肪肝、これらの疾患から起こる肝硬変症や肝ガンなどがあります。
急性と慢性の大きな違いは、発病後半年以内に治癒する急性肝炎と、それ以上にわたって経過が長引くようなら慢性肝炎となります。

 

●肝臓の構造

肝臓肝心要という言葉があるように、肝臓は体にとって重要な役割を担っている臓器です。それでは、そもそも肝臓とはどのような臓器で、どんな働きをしているのでしょうか?
肝臓は体内の臓器としては最も大きく、成人男子で1,400g、女子で1,250g程の重さがあり、体重の2%強に相当します。
肝臓は上腹部の右から中心少し左にかけて広がり、横隔膜の下にピッタリとくっついています。そのため、呼吸で横隔膜が動くと肝臓も一緒に上下に動きます。ほとんどの部分が肋骨や胸骨で守られています。
図では真ん中に線が入っていて2分割のように見えますが、実際は1つにつながっています。線から右を右葉、左を左葉と呼んで区別しています。

肝臓には静脈と動脈と神経の入り口、胆汁を運ぶ胆管とリンパ管と静脈の出口がつながっています。ここが他の臓器との大きな違いで、入る静脈と出る静脈があるのです。通常ならそれぞれの器官に栄養や酸素を届ける動脈が入り、老廃物を回収した静脈によって心臓に戻っていきます。しかし肝臓には動脈と静脈が並んで入っていくのです。通常なら静脈は出て行くだけなのですが、肝臓には入ってくる静脈もあるのです。
では何故、入ってくる血管なのに静脈と呼ばれるのでしょうか?
この「入ってくる静脈」は食道下部から直腸上半部にかけての消化管や、膵臓・脾臓から出てきた静脈がそのまま肝臓に入っているからです。この静脈のことを門脈と呼んでいます。
消化管から出てくる静脈で、消化管で吸収された栄養が運ばれてきます。栄養だけでなく、有害物質や化学薬品が運ばれることもあります。この血液が心臓へ運ばれる前に肝臓を通ることになります。肝臓では栄養を貯蔵したり、加工したり、有害物質を解毒したりする働きがあります。消化管で吸収した栄養などがすぐに心臓へ運ばれると、有害物質が全身へ回ってしまう恐れがありますので、肝臓で解毒することで体を守るのです。反面、有害なものが入りすぎると、肝臓に負担がかかるのです。

門脈の源泉として脾臓がありますが、脾臓では古くなった赤血球を壊す役割があります。脾臓で壊された赤血球の成分が門脈を通って肝臓に入り、赤血球のヘモグロビンを分解して肝臓で利用され、胆汁の材料になります。
肝臓には3,000億個もの肝細胞があり、約50万個ほどの細胞が寄り集まって「肝小葉」という集団を作ります。人間の「肝小葉」は1.2〜2mm程の6〜7角形の大きさですので、一つ一つの肝細胞は非常に小さいものです。この小さな肝細胞が色々な役割を担っているのです。 この6〜7角形の形はとても重要で、重症の肝臓病になるとこの形が崩れてしまいます。

門脈から入った血液は肝小葉を構成する肝細胞のすき間に入り込み、消化管で吸収した門脈血の栄養と、動脈血の酸素を肝細胞に受け渡します。
また、加工した栄養などの他の物質や炭酸ガスを受け取り、肝小葉の中心部に向かって流れ、中心の大静脈を通って心臓へ返っていきます。
肝細胞に囲まれた細い管は胆管と呼ばれ、肝臓細胞で作られた胆汁を運び出す管です。胆管は右葉左葉のそれぞれ1本の計2本有り、合流して1本の胆管になり、胆嚢からの管を合わせて総胆管となって、十二指腸へ胆汁を注ぎます。胆汁はやむことなく肝臓で作られますが、それを利用するのは腸管内で消化を行うときだけですから、消化時以外は胆嚢内に蓄えられます。

肝臓には外から侵入した細菌などの異物を捕食して無害にする、特殊な細胞があります。この様な細胞を細膜内皮系とよび、肝臓のそれをクッパー細胞といいます。

肝門脈が食道下部から直腸上半にわたる消化管からつながると書きましたが、これは門脈系とガンの関係に大きな関わりがあります。
例えば食道下部から直腸上半に出来たガンは、門脈系を通って肝臓に転移することがあります。しかし、直腸下部のガンは門脈系を通って肝臓に転移することはありません。この部分の静脈は直接下大静脈に入るので、心臓を通って肺に入り、毛細管にひっかかって転移層を作るのです。

 

●肝臓の働き

これまで書いてきたとおり、肝臓は私たちの生命維持に欠かせない臓器です。本来なら一つの臓器ではまかないきれないほどの重要な仕事を、たくさんしているのです。
肝臓の働きは複雑で、簡単には説明しきれません。またそのメカニズムは精密な化学工場のようでもあります。
主な働きを要約して見ますと...。

▼代謝と貯蔵
食物から取り入れた糖質、タンパク質、脂質、ビタミンその他の栄養素を、体内で利用できる形に作り変えます。
また、すぐには使わない栄養を貯蔵して、必要に応じて血液中に送り出してくれます。

▼消化腺
肝臓病の症状に黄疸があるとパート1で書きました。ビリルビンという胆汁に含まれている黄色の色素が血液中に増えるための現象です。
胆汁は食物の栄養の中でも、とくに脂肪の消化、吸収に必要な消化液で、肝細胞で作られます。
アマンアルファなどのアミノ酸を摂取すると脂肪肝が改善したという体験も聞きますが、これは肝臓の脂肪代謝能力がアップしたことで起こるのです。

▼排泄腺
血液内のある種の異常物質は尿の成分としてだけでなく、胆汁成分として排泄されます。

▼解毒作用
肝臓のオルニチン回路これは肝臓の機能のなかでも、一番重要とも言える働きです。
薬物、アルコールや食品添加物などは一定量までなら害にならないとされていますが、これは肝臓がもっている酵素の働きによるものです。
毒性の低い物質に分解したり、水に溶けやすい状態にして尿や胆汁と一緒に排泄してくれるからです。
また、タンパク質は体内で利用された後、最終的にはアンモニアに分解されます。このアンモニアが血液で運ばれて脳に入ると、意識障害(肝性脳症)を起こします。肝臓機能の低下している方が、突然意識を失うことがありますが、例えば運転中や入浴中に肝性脳症が起こり、事故につながることもあります。
肝臓の酵素オルニチン(アミノ酸の一種)は、アンモニアを捕らえて水に溶ける尿素に変えて、体外に排泄します。

▼血液腺
血液が血管内で凝固しないようにプロトピンという物質をつくり、血液中に流します。
貧血阻止物質のビタミンB12等を蓄えます。

▼血液の貯蔵所
肝臓は全血液量の2割にも及ぶ血液を貯めておくことが出来ます。血液の貯蔵所と言っても過言ではないでしょう。
肝臓は血液の分布や血圧の調整に重要な役割を持っていて、肝臓でうっ血して腫れてくると、他の血液関係の病気を考える必要もあります。

 

●ウイルスと免疫と抗原抗体

肝臓病の多くはウイルスが原因だと書きました。
ウイルスは細菌よりも遙かに小さく、細菌のように1つの生活細胞を形成しているものでなく、タンパク質で出来た殻の中に、DNAかRNAのどちらかの遺伝子物質が入っているだけです。
この遺伝子は自分自身と同じ分身を作るための情報で、ウイルスが好みとする種類の細胞や細菌に侵入し、入り込んだ細胞などに自分のコピーを作らせることで増殖します。
このようにウイルスだけでは増殖できないので、他の細胞などに寄生しなければ増やすことが出来ない、生命体としては不完全な状態です。

肝炎ウイルスは肝細胞が好みのウイルスだと言えます。
ウイルスが感染した肝細胞は、
1.ウイルスを増殖させたのち破壊される。
2. ウイルスと共存する。
3.ガン細胞へ変化する。
となり、ウイルスの種類によっていずれかとなります。

1.の場合は症状は激しく現れます。インフルエンザウイルスに感染した時の、気道粘膜の炎症や全身の痛みなども、激しい症状の現れです。

2.の場合は、B型肝炎ウイルスのタイプで、感染しても細胞を壊しませんので、何の症状もなくキャリアとして過ごすことになります。
では何故、B型肝炎に感染しても症状の出るときと出ないときがあるのでしょうか?
私たちの体には免疫能力が備わっていて、細菌やウイルスなどの異物(抗原と呼びます)が体内に侵入してくると、これらの有害物質を無毒化して排除する物質(抗体)を作って、体をまもろうとします。抗原に対応する抗体をつくる仕組みはいくつかありますが、白血球の中のTリンパ球と呼ばれるものが主役となり、抗体を作る機能があります。
抗原は細菌でもウイルスでも異質なタンパク質が抗原となります。細菌のように完全な生命体の場合は、その細菌が免疫能力の攻撃対象となります。ところがウイルスの場合は、ウイルス自体とウイルスが感染した細胞の両方が攻撃対象となってしまいます。
Tリンパ球機能が欠如していたり、免疫細胞を作る能力のない乳幼児がB型肝炎ウイルスに感染しても、抗体を作ることが出来ません。ウイルスは肝細胞を壊さないで共存しているため、症状は出ないのです。
しかしこの様な人が途中で抗体を作るようになると、感染している肝細胞を免疫能力が攻撃し、肝細胞が壊される事で症状となって現れます。

 

パート3へ続く....