
健康情報小ネタ集
心の病を防ぐ法〜トリプトファンの魅力〜Part-1(月刊健康医学2010/5号)
●各年齢層に広がる「心の病」
■ストレスでつぶされそうな子供たち〜不登校〜
敬宮愛子さまの不登校が明るみになったのも、記憶に新しいと思います。宮内庁の発表では「数人の暴力的な男子児童に怖い思いをされ、そのことがきっかけで学校に行けなくなった」ことを理由にあげました。その後、週刊誌等で様々な記事がでていますが、注目したいのは、愛子さまの不登校は氷山の一角であるということ。
2008年度文部科学省調査によると、全国で12万6千805人もの小中学生が不登校になっているそうです。これは、35人に1人の割合で発生している計算になります。
同じ出来事に遭遇していても、不登校になる子とならない子がいます。このため、子供の不登校は、大人から見ると単なる「わがまま」として受け止めてしまっているケースが多くなっています。「不登校」というサインは、その子供にとっては、耐えきれないストレスがあるという証です。そして、年齢が低ければ低いほど、不登校になる原因が自分でわからず、朝になると腹痛や頭痛、吐き気などを訴え、玄関先で足が硬直し、動かなくなってしまうなどの症状が出ます。
■職場でのストレスが病を生む〜パワーハラスメント、多忙など〜
昨年6月の厚生労働省の発表によると、心の病で労災認定を受けた人が269人となり、過去最高となりました。この労災認定とは「職場でのストレスが原因でうつ病などの精神疾患になった」というもので、認定を受けていない、または申請していない数を含めると、相当数の社会人がストレスを受け、心の病を発症しているということが想像できます。
■増加する心の風邪「うつ病」
右図は心の病の中でも多い、うつ病・躁うつ病患者数の統計です。厚生労働省に資料を元にしたデータですが、病院で治療を受けた人数です。12年間で患者数の増加は、2.4倍に膨れあがり、どの年代も女性の患者数が多くなっています。
■月曜日、月初、季節の変わり目要注意!!!
平成10年以降、毎年3万人以上が自ら命を絶っていることが社会問題となっています。先日、内閣府と厚生労働省は、地域や時期など自殺発生の状況を分析した結果を公表し、自殺のリスク傾向がわかりました。
自殺者が最も多いのは毎年3月。日別では月曜日が最も多く、逆に、土曜日と日曜日は自殺者が少ない傾向となっています。生活の変わり目で自殺リスクが高まる結果となっています。また、地域別では、東北地方に多く、首都圏などは、若い世代の自殺が目立っています。自殺の背景に、職場での立場や経済状況、家族関係によるストレスからくる精神疾患が指摘されています。
●自分の心の状態を知ろう!
■ストレスによる心因性の病
頭痛、歯痛、腰痛など、体の部位の痛みは自覚でき、他人にもその痛みの辛さを理解してもらえますが、「心の痛み」と「心の疲れ」は、体の部位の痛みの信号と異なるだけに、自分でもなかなか気付くことは出来ません。心の痛みや疲れは、精神疾患や自律神経系の病となってからはじめて気づかれる事も多く、その対処法も難しいのが実情です。
専門的な分野で言うと、心の病の原因は、大きく分けて「内因性」「外因性」「心因性」に分類されています。
「内因性」は、本人が元々持っている性格や気質、遺伝的傾向が原因になっているもの。「外因性」は、他の病気により、ホルモンのバランスが乱れて引き起こされるもの。「心因性」はストレスや大きなショック体験により起こるものとなっています。
今回の特集では、この心因性の心の病に焦点をあてて考えていきたいと思います。ただし、実際にはそう簡単な原因ばかりではなく、2つ以上の様々な要因が絡んでいることが多いのです。幼児期の親子関係など、いろいろな間接的環境要因も重なって発症していくと考えられています。
また、近年増加しているうつ病も、内因性、外因性、心因性のものがあり、原因別に治療法が違ってきます。
■あなたのストレス耐性は?
同じ環境にいながら、ストレスで心の病を発症する人としない人がいます。ウイルス感染と同じように語るわけにはいかないと思いますが、病になるかならないかの境目は似ています。
例えば、インフルエンザが大流行しても、感染して重篤な状態になる人と、感染しても軽く済み回復する人、または、全く感染せずに乗り切る人がいます。ウイルスの場合、抗体を持っているか、外敵が体内に侵入しても戦える免疫があるか無いかに関係してきますが、ストレスも同様に、ストレスという刺激を受けたとき、その刺激の耐性が強いか弱いか、また日頃から予防や対処の仕方を知っているかどうかに関わってきます。自分のストレス耐性をご存じですか?
カラダにeサイトhealthクリックで、ストレス耐性度チェックをしてみても良いかもしれません。
■あなたの気質は?
生活の中の様々な出来事で、人間は、思い悩んだり、喜んだり、怒ったり、悲しんだりします。そんな感情の変化のある生活は、メリハリがでるものですが、長期間同じ感情に支配されると、人の脳は、これをストレスと捉えます。
健康医学では、東洋医学をベースとして考えており、感情によるストレスは、臓腑を傷つけ、弱らせてしまうと考えます。五臓の色体表の「五支」の感情は「五臓」に示されている臓器に栄養を与えると考えています。
現代医学では、脳を臓器として捉えていますが、古代中国には脳という概念はなく、各臓器が人の感情を司っていると考えられています。
人には、喜・怒・思・憂・悲・恐・驚の7つの感情があると言われています。過剰な感情が、それぞれ影響を与える臓腑を下表にまとめてみました。こ
の視点で考えると、極端に感情を偏らせす、穏やかな気持ちで生活するというのが、ストレス軽減のポイントとなるでしょう。
生まれ持った性格や気質を変えるのは難しいのですが、このような、臓器と感情の関係を常日頃から頭に入れておくと、自分の気質が、どの臓器を傷つけやすい傾向をもっているのかを知ることが出来ると同時に、ある強い感情がおこった場合、予防に努める手がかりになります。
また逆に、臓器に不調を感じたとき、自分にどういう感情がストレスになっているのかを把握することもでき、初期のうちに対処すれば、心の病を防げます。自分のことを把握しておくことこそ、心の健康管理の大きな手段なのです。
■感情が生まれるメカニズム
現代科学では、心のハードウエアは脳にあると考えます。しかし、まだ、感情と脳の詳しいメカニズムは完全に解明されていません。現在、知られている感情が発生する流れについて、ここで簡単に触れておきます。
回分からの刺激を受けとると、まず、その刺激の情報を大脳で解析し、海馬に送られます。
海馬から「パペッツの情動回路」と呼ばれる流れにのり、各部位をめぐり、そこで感情が生まれます。生まれた感情はふたたび大脳に取り込まれ、長期記憶などになります。少々難しいですが、「パペッツの情動回路」についてはこちらも参考になります。
●脳内物質
■感情を左右する物質
感情を左右するのは、脳内物質(脳内神経伝達物質)といわれています。現在、この脳内物質は50種類以上確認されています。しかし、その中で働きなどが解明されているのは、20種類程度しかなく、現代科学的には、「心」はまだ発展途上の分野です。主に感情をコントロールする脳内物質は、セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンと言われており、多数の脳内の部位に大きな影響を及ぼすことで知られています。アドレナリンは不安感や恐怖感、緊張感、ノルアドレナリンは怒りの感情、そしてドーパミンは楽しいときなど快楽を感じたときにでる物質です。セロトニンは、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つの物質のバランスを調整します。
■心に必要な物質とは
近年、うつ病に関する研究も進んできました。うつ病が原因で自殺したと思われる人の脳脊髄液の調査で、セロトニンが極端に少ないということがわかっています。つまり、感情の調整剤とも言われるセロトニンを不足させないということが、うつ病にかからないということになります。
また、「キレる」という表現も一般に使用されるようになってきました。キレるとは、感情をコントロールできなくなり、怒りまくってしまうことです。キレという状態は、主に抑制性の脳内物質のGABA(ギャバ)と呼ばれるγ-アミノ酪酸(アミノ酸の一種)が、分泌されのくくなっているために、セロトニン分泌が弱くなる状態です。
GABAは、主に海馬、小脳、脊随などに存在し、現段階の研究では、体外から摂取しても脳内物質としての、そのまま利用される事がないとされています。
GABAとセロトニンも少なくなった状態で、ノルアドレナリンの分泌が多くなると、暴れたり、暴力的になったりすることがわかってきています。
セロトニンの分泌が減ると、マイナス思考になったり、わけもなく落ち込んでしまったりということがおこります。
▼パート2(セロトニンを増やす方法)に続く...



