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小ネタ集

健康情報小ネタ集

皮膚のメカニズムの解明(黒岩裕勇起健康医学社社長講演会より)

東洋医学には、按摩、マッサージ、指圧、鍼灸治療など、皮膚を対象に施術する治療法が多くあります。健康医学においても同様で、真空浄血療法(バンキー療法)も皮膚を対象として施術しています。
これまで皮膚については、「バリア機能」の役目をする、体細胞の包装紙的な捉え方しかされておらず、大学の医学部でも皮膚のメカニズムについて多く学ぶことはありませんでした。しかし、ここ数年の間に、急速に皮膚に対する研究が進み、これまで解明されていなかったような皮膚の驚くようなメカニズムがどんどんわかってきています。

 

●皮膚の機能性に科学者達が注目

皮膚科学研究の第一人者、傳田光洋博士の著書「賢い皮膚」(ちくま新書)には、次のようなことが書かれています。

「この数年の間に急に、表皮が様々な情報受容機能、情報処理機能、そして情報発信機能を持っていることがわかりました。さらに、それらが神経系で認められているような電気的な因子が関与していることも明らかになってきました。
機構やマッサージが正当な評価を受けてこなかった理由には、表皮の仕組みがわかっていなかったことが挙げられると思います。しかし今、我々は皮膚には中枢神経と同じ情報処理のための分子機械がある事を知っています。外部電場や温度、圧力といった物質的要因を表皮が受け取り、それを身体全体に伝達できることもわかって来ました。そうなると、表皮への施術が全身の健康につながるという仮説も、現代科学で解明する対象になった、と言えます。」

手術で胃を全摘出したり、肝臓を半分切り取ったりしても、命に別状はありません。しかし、皮膚の1/3を火傷などで失うと、命を落とすとされています。近年、皮膚機能のメカニズムについても急速に解明されてきました。皮膚は、単に外界と生体との境目をつくる体の包装紙の役目だけではなく、環境の変化に応じて多くの信号を発信しています。その信号は、免疫系や中枢神経などと密接な関係を持ち、皮膚バリアの再生機構についても、自立的に原子や分子のイオンの流れによる電気現象である事が、解明されてきたのです。

 

●皮膚の構造

■表皮

皮膚の研究の中でも科学者から注目されているのは、「表皮」です。表皮は、下図のように角層、顆粒層、有棘層、基底層があり、表皮基底膜の下が真皮になります。皮膚の構造表皮には、「ランゲルハンス細胞」という免疫を司る細胞があります。表皮を構成する細胞のほとんどは、ケラチノサイト(角化細胞ともいう)から出来たものです。

 

■真皮

真皮とは、表皮の下にある厚い層のことを言います。真皮の性質の中で大切なのは、十分な水分が含まれていることです。十分な水分があれば、皮膚の表層は張ってきますが、少なくなると皮膚の表面はしなびてきます。この真皮を潤そうと、皮膚の外からいくら水分を与えても角質までで、真皮までには届きません。みずみずしい皮膚は、角質と真皮の療法に十分な水分が含まれていることが大切なのです。

 

■角化とターンオーバー

上図のように、ケラチノサイトは中心に細胞核をもっています。そして、下の層が上に押し上げられ、角質細胞になる時は、核がなくなり細胞は死んで、最後にはフケや垢などとなり、はがれ落ちていきます。皮膚はこれが繰り返されており、新しい皮膚に入れ替わるターンオーバー、いわゆる新陳代謝が行われています。
このターンオーバーがうまく行われないと、角質層が厚くなり、保湿力が低下し、肌荒れがおこります。健康な肌を保つためには、ターンオーバーが順調に行われる必要があります。
表皮は、約28日間周期で新しい細胞に生まれ変わっています。しかし、このサイクルは、年齢や身体の部位で大きな差があり、加齢と共にその周期は長くなります。80歳では、120日間ほどとなるとされています。

 

●皮膚は免疫を司る

皮膚には、免疫機能があります。表皮の中にランゲルハンス細胞が存在し、それが免疫機能の役割を果たしています。更に、皮膚細胞のケラチノサイトそのものにも病原菌特有の構造を認識して免疫システムを作動させる受容体があり(TO11様受容体)、これが活性化すると、免疫細胞を呼び込みサイトカインが放出され、免疫細胞の増殖を促進することが、2007年に発見されました。ランゲルハンス細胞が強力な免疫機能を果たすとされてきましたが、皮膚の大半を構成するケラチノサイトそのものが、免疫機能を担うものであったことがわかったのです。
また、表皮が抗菌ペプチドという殺菌剤の一種を作っていたこともわかっています。

 

●皮膚の防御装置センサー

皮膚には3つの防御機能があります。簡単にそれをご説明しておきます。
1.異物の侵入を防ぐ角質層の「バリア機能」
2.異物を識別し、攻撃する「免疫機能」
3.殺菌作用のある「抗菌ペプチドをつくる機能」
この3つの機能は連鎖反応で補いながら体を守っています。例えば、バリア機能の角質層を壊したとすると、ランゲルハンス細胞や抗菌ペプチドが増え、体内の細胞を守ろうとします。しかし、水を通さない膜で壊れた角層を覆うと、ランゲルハンス細胞も抗菌ペプチドも増殖せず、角質層のバリアも回復しません。一方、水蒸気のみを通すゴアテックスで覆うと、バリア機能が回復します。このことから、皮膚表面の湿度を感知することで角層の状態が伝わり、皮膚の防御機能が調整されているのではないかとされています。

 

●皮膚細胞自身で温度感知

皮膚細胞そのものが温かさを感知していると言うことが、自然科学研究機構・生理学研究所によって解明されました。それによると、温かみを感じる30℃を超えると、表皮細胞がATP(アデノシン三リン酸)を放出し、近くに神経を刺激する事を発見しました。そして40℃を超える温度では、感覚神経が直接反応し始めたことから、温度によって表皮細胞と感覚神経が役割を分担していることがわかりました。
ATPとは、エネルギーをため込むことが出来る体内の乾電池のような役割を果たすものです。そのATPを作るために、 人間の細胞は内呼吸をしていますが、表皮細胞で温度を感知し、ATPを放出し、温度の情報伝達物質の役割を担っているということです。

 

●神経より先に皮膚が感じる

これまで、「痛み」というと、体にある痛点の神経が感じ取り、認識するとされてきましたが、最近の研究から、表皮を形成するケラチノサイトにも、その機能があることがわかりました。
ケラチノサイトには、痛みだけでなく温度の刺激、圧力の刺激なども、神経より先に感じ取る機能があることがわかっています。
皆さんも、バンキーをかけていて、痛いと感じることがあると思いますが、点在する痛点が感じ取っているのではなくて、表皮がそれを感じ取っているということが考えられています。
また、この表皮のセンサーであるケラチノサイトには、酸を感知する機能もあるとされています。ということは、黒酢の足湯や黒酢の全身浴をしている時も、人間自身は黒酢が酸性であることを感じていなくとも、皮膚細胞は酸性であることを感知しているのです。

 

●脳を表皮は生まれが同じ

近年の皮膚の研究により、表皮ケラチノサイトが脳を同じような役割をしているということが言えるのではないでしょうか?表皮は、色々な神経組織と同じような働きをしています。
先述の傳田光洋博士は著書の「第三の脳」の中で、 「臓器の超エリートである脳と、最後は垢になる表皮、この二つは驚くべき事に『生まれ』は同じ、さらに基本的なシステムや細胞単位での振る舞いも見分けがつかないぐらい似ているのです。」記しています。細胞分裂を見てみると、表皮が脳と同等の機能を持つ意味が理解できそうです。
卵が受精すると、細胞分裂が開始され、外胚葉、中胚葉、内胚葉に分化し、そこから様々な臓器が作られていきます。皮膚は何から出来ているかと言いますと、表皮は外胚葉から、真皮は中胚葉から出来ています。(下図参照)
脳と皮膚は同じ細胞から最初生命が誕生した頃、人間の祖先もそうですが、クラゲやイソギンチャクのようなものの先祖には脳がありませんでした。しかし、ちゃんと生きています。その時は、表皮が外界の刺激を受け反応し、脳の代わりをしていたのです。刺激を感知していた皮膚が進化と共に体の中に入り込んで、それがやがて神経に発展していったとされています。そして、中胚葉にでてきて色々な臓器に分かれて行きました。このことが、表皮は外胚葉から、真皮が中胚葉からできたという由来です。
生命は海で誕生し、人間の遠い祖先は、海から陸に上がるようになりました。水分が蒸発していかないために、表皮に角質層というバリア機能が出来ました。ですから、角質層を持つ生物というのは陸で生きているということを示しています。

 

●「肌肉」と「皮膚」の違いを考察する

五臓の色体表の「五主」を見ると、「肺・大腸」は「皮膚」「脾・胃」は肌肉とあります。「皮膚」と「肌肉」はどう違うのでしょうか?
近年の皮膚に関する研究報告から考察すると、私の考えでは「肺・大腸」の「皮膚」は、角質層を意味するのではないかと思います。ですから、フケの多い人は肺・大腸に異常があるという診断が出来ます。一方、「脾・胃」の「肌肉」は、角質のなかった、つまり、陸上に生物が上がる前の状態、表皮と真皮の部分を粘液で覆っておく必要があった場所ではないかと思います。「肌肉」は、角質層のない場所、粘液で覆われる必要がある場所を指しているのではないかと思います。つまり、目や口内、唇などです。
「皮膚」と「肌肉」の違いは、角質のあるなしに左右されているのだと思います。

 

●バンキー効果の科学的裏付け

2008年に「皮膚が酸素濃度を感知している」「造血に必要なサイトカイン(エリスロポエチン)を合成し、その分泌量を調整している」など表皮の機能に関する論文が続々と発表されました。
皮膚細胞のセンサーが酸素濃度を感知して、造血を促すサイトカインのEPO(エリスロポエチン)の分泌量を調整するばかりか、表皮のケラチノサイトが必要に応じてEPOを合成しているというのです。
これまでは、腎臓や肝臓がEPOをつくり赤血球が増えるとされていました。ところが、肌で酸素を感じるばかりでなく、表皮自身で造血因子のサイトカインまで合成していることがわかったのです。
これは、バンキー施療にとって画期的な報告です。バンキーをつけると、カップ内は真空状態になりますから、カップの中の皮膚表面は、自ら酸素がないと感知します。すると、そのケラチノサイトは、自らEPOを合成します。EPOが分泌されると、赤血球が増えます。つまり、酸素の取り込み量が増加することを意味しています。バンキーで施療するということは、色素反応の有無の関わらず、赤血球を増やし、全身に酸素をいきわたらせる健康効果があるというメカニズムが分子生理学的に裏付けられたことになります。
バンキーによって、お血を解消するという側面も確かにありますが、それ以上に、表皮が酸素を感知し、赤血球を増やすということは、バンキーの治療効果が、かなり高いということを証明できるのではないかと思います。

 

●マッサージ

近年の研究の中で、興味深いものの一つに「表皮が圧力を感じると二酸化窒素 (NO)を合成する」というものがあります。NOは身体のあちこちで作られ、血液循環への作用が知られています。NOは、血管を広げる作用があり、心筋梗塞の治療薬などにも使われています。
表皮が圧力を感じるとNOが合成されるということは、マッサージによって表皮がNOを合成し、その結果、血管が広げられ、血流が良くなると考えることが出来ます。この研究発表によって、皮膚に対する施術の多い東洋医学への科学的解明の第一歩を踏み出し、西洋医学(西洋科学)と東洋医学の融合的な研究が進むのではないかと、多くの科学者が期待をよせています。

 

●イヌ凛で高血圧が改善するワケとは?

余談になりますが、健康医学社の菊芋製品「イヌ凛」で「高血圧が治った」という報告を受けます。「イヌ凛」の原料であるキクイモの乾燥粉末には、アルギニンの含有量が多いのです。実はアルギニンは体内でNOをつくります。NOは、先述の通り、血管を広げて血流を良くする作用があります。「イヌ凛」がアルギニンをたくさん含んでいるということは、これを飲めば体内でNOがつくられるために、血管が広がり、その結果、血圧が下がると考えられます。

 

このように、表皮の多彩な機能があることがわかってくると、これまで東洋医学で使われていながら科学的に実態が不明だった経絡や経穴についても、近い将来解明される日が来るのではないかと思います。