
健康情報小ネタ集
皮膚バリア(黒岩裕勇起健康医学社社長講演会より)
前回に引き続き、皮膚に関するお話です。皮膚の角質には大きく二つの機能があります。一つは、体内の水分の蒸発を防ぎ、乾燥肌にならないようにする保湿機能、もう一つは、異物が体内に入り込むのを防ぐバリア機能です。
●皮膚バリア
角質層の下の表皮層や真皮層は、常に粘膜に覆われています。
皮膚のバリア機能は、一番上の角質層に備わっています。「皮膚の荒れ」というのは、ほとんどの場合、角質層での状態を示しています。
角質層は「角質層細胞」と「細胞間脂質」で構成されています。そして、角質細胞は、ケラチン繊維と繊維間物質からなっており、角質層が健康な状態であるかどうかは、ケラチン繊維が含む水分量に左右されます。化粧品などで、NMFという言葉を聞いたことがあると思います。角質層の保湿性と吸水性を調整し、皮膚の状態を健康に保つ役割を担っています。
NMF(天然保湿成分)をつくるには約四週間必要であるといわれています。角質細胞の水分が保たれなくなると、表皮層細胞の角化のスピードが速くなるため、NMFの生産にも間に合わなくなります。すると、肌のバリア機能が低下し、肌荒れを起こします。
●アミノ酸が皮膚に及ぼす重要性
NMF(天然保湿成分)は、40%がアミノ酸で構成されています。アミノ酸は、角質層の水分を保のに重要な役割を果たしており、真皮層を経由して表皮細胞に供給されます。敏感肌の人は、健常肌の人に比べてアミノ酸の含有量は少ない傾向にあります。つまり、角質層などの皮膚の中に含まれるアミノ酸の含有量が減れば、皮膚のバリア機能が働きにくくなり、肌荒れの原因になりやすいということです。
また、アトピー性皮膚炎の人や花粉症の人も、角質層のアミノ酸の含有量が少ないという研究報告もあります。
右図は荒れた肌に、アミノ酸を混ぜて塗ると、健康な肌の柔軟性に近づくという実験データです。特にアルギニンは、皮膚の健康を保つということが色々な治験で明らかになっています。このため、化粧品など皮膚に関連する製品によくアルギニンが使用されています。アルギニンは、非常に可能性を秘めたアミノ酸であると思います。
また、ドイツの研究者が、二つのグループに21日間、尿素入りのクリームにアルギニンを添加したクリームと、添加していないクリームを塗って経過を調べたところ、アルギニン入りのクリームのグループの肌荒れが改善したそうです。アルギニンには皮膚を再生する力があるということが明らかになっています。
皮膚バリア機能は、アミノ酸で機能されているのです。
●肌を守る皮脂
アミノ酸が皮膚の健康に欠かせませんが、皮脂腺から分泌されている脂も、皮膚バリア機能の一役を担っています。
皮脂は、皮膚の乾燥を防ぎ、皮脂膜を弱酸性に保ち細菌を防ぎます。皮脂量のピークは、15〜25歳までとされており、分泌量が減り始めるのは、女性の場合は、36〜45歳、男性は56〜65歳ころです。
●ヒトの皮脂
ヒトの皮脂にはスクワランという物質が多く含まれているとされています。このスクワランという物質は、炭素と水素だけの化合物で、皮脂の中でも水をはじく性質(ウォータープルーフ性)が強いものです。
ヒトでは、毛穴のない足の裏や手の平から、皮脂は出てきません。もし、足の裏から皮脂が出ていたら、滑って速く走ることなど出来ません。しかし、皮脂が出てこないところは、水がしみ込んでしまいますので、お風呂に入ったりするとふやけてしまいます。他のほとんどの動物の皮脂には、スクワランではなく、コレステロールが含まれており、水をはじく性質はそれほど強くありません。

●皮膚常在菌
皮膚常在菌とは、常に皮膚の上にいる菌で、これが、皮膚バリアを維持する上で非常に重要な役割を果たしているということが最近の研究でわかってきました。それによると、人の皮膚に千種の細菌がいるそうです。図のように、各部位に多くの種類の常在菌が住んでいます。
●常在菌の喜ぶ環境
皮膚常在菌を育てるには、どのようにしたらよいのでしょう。
1.常在菌が嫌うものを避ける(紫外線を避け、乾燥を避ける)
2.常在菌の好むものを与える(汗をかく)
3.身体を冷やさない
まず1.ですが、紫外線対策を行う事です。ここで注意して頂きたいことは、常在菌にとって、UVカットクリームなどの刺激の強い化学物質もよくないということです。日焼け防止用のクリームだけに頼るのではなく、帽子や衣服、日傘の併用で紫外線対策をするといいでしょう。そして、紫外線の害で傷ついた肌は、十分な保湿と十分な睡眠で皮膚の機能を働かせ、回復させるようにするようにしましょう。また、冷暖房による肌の乾燥も大敵ですので、化粧水などで保湿をするようにしましょう。ただし、過度な肌のお手入れも、常在菌によくありませんので、適度な肌のお手入れがポイントとなります。
次に2.ですが、常在菌の好むものは汗です。汗の成分は表皮ブドウ球菌を増やし、皮膚は弱酸性を保つことができます。週に一、二度「いい汗」をかく運動などをしていれば、汗腺も塞がらず、健康に汗をかける身体を保つことができます。
そして、3.の身体を冷やさないということはとても重要です。だいたい、36.5度であれば、常在菌に適した体温です。しかし、これより低い体温になると、常在菌は元気をなくしてしまいます。特に冬は、衣服で肌の乾燥を防ぐ作用もありますので、身体を冷やさない、冷暖房に頼らないという生活をするといいでしょう。
また、石鹸や洗剤などの化学物質の刺激、お風呂に長く入ること、ストレス、生活のリズムの乱れなども皮膚バリア機能を低下させる原因と考えられます。入浴は血行をよくしますが、ジャワーを浴びただけでも常在菌は落ちていきます。何時間もお風呂に入っていると、増殖しにくくなります。
アトピー性皮膚炎で、ステロイド剤を使った治療が多いですが、塗ることによって、皮膚のバリア機能を破壊していきます。アトピー性皮膚炎は一時的に治まるかもしれませんが、逆に皮膚のバリアを破壊しますので、外部の色々な雑菌を引き寄せてしまうことになり、皮膚炎を更に悪化させてしまいます。いたずらにステロイド剤に依存するのは良くない言うこともわかってきています。
●傷の治療にはミネラルが不可欠
1995年に発表された研究論文に、傷を負うことで出てくる浸出液のマグネシウムとカルシウムの比率を調べたものがあります。それによると、「マグネシウムが多いと傷の修復作業が進むが、カルシウムの濃度が多いと傷口をふさぐ作業がストップしてしまう。」という事です。つまり、マグネシウムとカルシウムの比率は、傷口をふさぐ作業に非常に大きな影響を与えていることになります。
人間にとって、アミノ酸とカルシウム、マグネシウム、ビタミンCは傷を塞ぐことにおいて欠かすことの出来ないものです。もし、これらの摂取が少なければ傷の修復が遅れることになります。
例えば、バンキー療法で水疱が出たとします。水疱がキレイに治るには時間がかかりますが、アミノ酸、カルシウム、マグネシウム、ビタミンCがたっぷりあると、皮膚の水疱の治りが早く、キレイに治ります。
●治療効果のある光
2008年には、光によって、皮膚の治癒能力が変わるという論文がいくつかは発表されています。それによると、「傷の治りは、赤い光で早くなる」「ニキビが青い光で治る」というものです。その仕組みは完全に解明はされていないものの、赤い光はコラーゲンの合成を増やし、青い光でニキビの原因になる菌が死ぬなどといわれています。
このような研究発表がされるずっと前、今から40数年前の話ですが、黒岩前会長が四谷で治療院を開いていたころ、サウナを併設し、身体を温めた後にバンキー治療をしていました。そのサウナの中には、赤い光が設置されていました。赤い光が肌に与える影響に関する論文を読んだとき、「あ、そう言うことだったのか」と、その治療院のことを思い出しました。そう言う意味で、黒岩前会長は先見の明があったのかと思います。会長は、光線の治療器の研究もしていましたので、赤い光が体に良い影響を及ぼすという色々な文献にあたっていたのではないかと思います。
●コラーゲン
コラーゲンは、傷を治すのに必要なタンパク質です。コラーゲンは様々なアミノ酸から構成されています。
黒酢にはたくんさんのアミノ酸が含まれています。擦り傷や切り傷に黒酢をつけると一瞬ピリっときますが、非常に治りが早く、また、キレイに治ります。蚊に刺されたとき、痒くなりますが、そんな時も黒酢を塗ると痒みが止まります。傷の修復にはアミノ酸は欠かせないのです。アミノ酸は、酸と共にあるのが本当は望ましいと思います。アミノ酸だけだと腐敗します。人間の身体には、酸を含んだアミノ酸を塗ってあげると、治りが早いです。火傷の時も同様です。
●雪菜はコラーゲンのアミノ酸を網羅
新製品の雪菜ケール青汁を発売しました。雪菜は、イタリアのスローフード協会から、世界の食の遺産【味の箱舟】に認定されました。その雪菜のアミノ酸構成を見て下さい。アミノ酸がほぼ満遍なく含まれています。これほど、多くのアミノ酸が豊富に含まれている野菜は珍しいです。
コラーゲンを構成するアミノ酸が、雪菜には全て含まれています。雪菜は今後も研究の余地が、まだ多くありそうだと、将来も楽しみにしています。
●傷の治療
傷を負うということは、皮膚のバリアが破壊されるということです。ここでいう傷というのは、重症な傷ではなく擦過傷、擦り傷、切り傷、火傷、バンキーで出て来る水疱反応などです。早く、キレイに傷を治療するにはどうしたらいいのか、ということも、最近の研究で明らかになってきています。
昔は、擦り傷、切り傷などは、消毒用の赤チン(ヨードチンキ)を漬け、乾かしておなおす方法が一般的でした。しかし今は、「消毒液を塗って乾燥させる方法は、傷の治癒を遅らせる」という考えが主流になってきています。小さな傷の場合は、傷口を水で良く洗った後、出てきた侵出液を乾かさないように湿った状態に保つほうが早く治癒することがわかってきたのです。この方法を「湿潤療法」とよんでいます。
群馬大学医学部皮膚科の石川治教授が、「皮膚の傷の治療」について、昔のように消毒液を塗って乾燥させる方法は、傷の治癒を遅らせ、「湿潤療法」が、今、主流の治療法であると書いています。この治療法は痛みがほとんど無いというのが特徴です。
細胞は、乾燥に弱いため、乾燥させるとすぐに死んでしまいます。このため、乾燥させないように傷口を塞ぐことが大切なのです。また、消毒液は、タンパク質も破壊します。傷口についた細菌を破壊するのはいいのですが人間の身体の細胞のタンパク質も破壊してしまい、傷口を更に深めることになります。傷を負ったら、消毒液は塗らず、水道水で十分に洗うようにしましょう。そのあと、湿潤療法で、乾燥しないようにラップなどで覆って、常に湿気を保つといいでしょう。ただ、ラップで覆うよりも、その上にアミノ酸を塗ると治療が早いと思います。
傷を治すために必要なことは次の6点です。
1.栄養
2.ビタミンC…ビタミンCはコラーゲンの生成に不可欠
3.微量元素…特に亜鉛、銅、カルシウムはコラーゲンの生成に関わりがある。
4.酸素
5.アミノ酸
6.副腎皮質ステロイド(塗り薬のステロイドではなく)
私は、この湿潤療法に加えて、酸を含んだアミノ酸を塗る方法が、傷跡を残さずに、早く完全になおす方法だと考えています。時にバンキー施療の時にできた水疱治療には有効です。傷口に塗るアミノ酸は、RVE-21やアマンアルファの中身のアミノ酸濃縮液、または、黒酢でもいいです。それと同時に、コラーゲンの生成に必要なビタミンCや傷口を塞ぐスピードを左右するカルシウムやマグネシウムを摂取すると更に治癒力を高めることができるでしょう。皮膚のバリア機能を維持し、また皮膚の傷を修復再生させるには、アミノ酸やビタミンCなどは欠かせません。
●皮膚バリアを健康に保つ
皮膚の美容という観点からも、皮膚のバリア機能という観点からも、アミノ酸、ビタミンCは欠かせません。また、マグネシウムやカルシウムは治すスピードを左右します。バンキー療法のように表皮に吸着具をあてて健康維持や病を治そうという場合は、皮膚のバリア機能や皮膚の健康を常に保っておくと、バンキー療法の効果を高めることができます。バンキー療法をすると同時に、必要なアミノ酸、カルシウム、マグネシウム、ビタミンCを補給しながら、施療をすることが大事です。
また、化粧品を塗れば塗るほど、皮膚の常在菌が嫌がります。常在菌が好きなのは汗です。是非、汗をかくような運動を日常に取り入れるようにして下さい。日頃から、皮膚のpHを弱酸性にし、皮膚の健康を心がけながら、健康医学を実践して頂けると幸いです。



