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Part-1では「腎臓の働き」について解説しました。今回は腎臓の病気についてです。

 

●腎臓の病気とその症状
腎臓の病気で最も大切な症状は尿の異常です。腎臓が病むと必ず尿の色や量、タンパク尿、血尿などの異常が現れます。尿の異常は腎臓病の診断に重要な指標となります。ですから、常に毎日の尿の変化には注意していく必要があります。

腎臓の構造

腎臓の断面

■タンパク尿

タンパク尿は腎臓の病気でも、容易に見つける事が出来る症状の一つと言えます。尿にタンパクが出ているかいないかは、薬局などで販売している尿タンパクの試験紙で簡単に調べることが出来ます。
タンパク尿の試験紙は+が20mg/デシリットル(10分の1リットル)、++が100mg/デシリットル、+++が300mg/デシリットルの濃度でタンパク質(アルブミン)が含まれていることを示します。例えば++であれば、1日のタンパク尿量がほぼ1.0gであることをして示します。尿の中にタンパク質や糖が出ていると、泡立ちが目立ちます。
腎炎が急性の時はコーラのような色の血尿が出ることがありますが、ほとんどの場合、顕微鏡で赤血球がわかる程度の血尿で、これも試験紙で潜血反応として調べることが出来ます。仮に尿潜血が陽性でも、タンパク尿が(-)〜(+-)程度であれば、腎臓の働きが低下することは腎硬化症以外にはほとんどありません。しかし、タンパク尿が(+)〜(++)の場合は、1日の尿をためて、タンパクがどれくらい出ているかを調べる必要があります。
また、1日の尿をためると、1日タンパク尿量と同時に腎機能を示すクレアチニンクリアランスを調べることが出来ます。その意味で、1日タンパク尿量は腎炎の活動性と障害の程度の両方を反映する重要な指標と言えます。
なお、血清クレアチニンや尿素窒素(BUN)などの血液中の老廃物は、クレアチニンクリアランスが2分の1以下に低下するまで正常値を示すことから、血液検査だけで安心するのは危険です。
タンパク尿の異常には糸球体の病変によるタンパク尿と、尿細管でのタンパクの再吸収力の低下や尿細管からのタンパク質の分泌などに尿細管性タンパク尿があります。その他、起立時や運動後、発熱時のタンパク尿が見られる場合もあります。しかし、これらは1日あたり150mg/100ml以内であり、生理的タンパク尿といわれるもので病的なものではありません。
尿に含まれるタンパク質の量が1日あたり1.0gまでの状態は、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、慢性腎盂腎炎などでも見られます。しかし、1日あたり3.5g以上の状態はネフローゼ症候群と定義され、低タンパク血症や浮腫を生じます。

 

■血尿

血尿には肉眼で確認出来るものと、顕微鏡で見なければ確認出来ないものがあります。肉眼で確認出来る血尿は、肉眼的血尿と呼ばれ、 尿が赤や茶に変色することでわかります。後者は顕微鏡的血尿と呼ばれ、尿を遠心沈殿させて赤血球を顕微鏡などで観察します。
血尿の原因は多数あるので、精密検査を受けなければ的確な診断は出来ません。血尿が見られる腎臓には、肉眼的血尿では急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎の一部(IgA腎症)、腎結石、腎浮腫、腎結核などが挙げられます。
いずれにしても、血尿が出たら精密検査が必要です。顕微鏡的血尿は、程度の差はあるものの、ほとんどの腎臓病に見られます。

 

■浮腫

浮腫、いわゆる「むくみ」も腎臓病で見られる症状の1つです。特に糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、ループス腎炎では常用菜症状です。
急性糸球体腎炎では、上気道炎や扁桃腺にかかって1週間程度経てから、まず顔面がはれぼったく感じ、上まぶたが腫れてきます。その後、手足にも浮腫が及びます。さらに症状が悪化すると、腹水も現れてきます。その多くは、同時に秤尿量も少なくなります。
慢性糸球体腎炎では、ネフローゼ症候群以外では、ほとんど浮腫の現れないものから、中程度の浮腫まで程度は様々です。そのとき、顔色も青白く腫れぼったい感じがします。
ネフローゼ症候群では最も強い浮腫を生じ、場合によっては水分が胸膜腔にたまる胸水や、腹水まで出てきます。浮腫が進行して腎臓の働きが落ちると、ついには尿毒症に陥り、人工腎臓に頼ることもあります。

 

■高血圧

腎臓は元々高血圧の影響を受けやすい臓器です。血圧が高くなって細い動脈に収縮が続くと、動脈の壁が厚くなります。そうなると、内腔は狭くなってしまうので、血液の流れが悪くなります。
その結果、腎臓の機能が悪くなり、極端な場合は尿毒症になります。したがって、高血圧は腎臓病の進行を判断する大切な指標となります。

 

■急性糸球体腎炎(急性腎炎)

急性糸球体腎炎は大人でも子供でも発病しますが、5歳から20歳までの間に最も多く発病します。この病気は糸球体が一斉にびまん性冒され、タンパク尿、血尿、浮腫、高血圧などの症状があらわれます。
急性糸球体腎炎は一般に、急に発病するものの、比較的短い期間で治る事が多いので、それほど心配する病気ではありません。しかし、初期の手当が良くなかったりすると、慢性となる場合もありますから、油断しないことです。特に大人の場合はこじれやすいので注意が肝要です。

 

■急性糸球体腎炎の原因

この病気の場合、咽頭(主に扁桃)や皮膚などに先行する感染巣があって、その後1週間くらい経てから腎臓に変化が起こります。カゼ、扁桃炎、中耳炎、耳下腺炎、しょう紅熱、水痘症、皮膚化膿症、丹毒などが先行感染の主なものです。
急性糸球体腎炎をおこす細菌としては、溶血性連鎖球菌が圧倒的に多くなっています。ただ、通常の炎症のように細菌の毒素そのものが発病に直接関わるのではなく、その毒素が抗原と抗体の結合によりアレルギー反応をおこし、その連鎖反応で腎臓に沈着することから発病します。
また、晩秋から冬、早春にかけてカゼや扁桃炎が起こりやすい次期に多く発病します。

 

■急性糸球体腎炎の症状

カゼや扁桃炎などの症状(咳、鼻水、痛み、高熱など)が治った後、はじめに顔、特に目の周辺に浮腫が現れることが多く、尿の回数も量も減ってきます。そのころに検尿すると、タンパク尿が検出されて腎臓病が疑われることになります。
浮腫が出始めてから2〜3日経つと、尿が赤くなる血尿が見られます。尿が赤く見えないときでも、顕微鏡で見ると赤血球が多く見られます。その他、尿素窒素やクレアチニンなども増えてきます。また高血圧の症状も現れて、最初の1〜2週間は120〜180程度で、全身がだるくなり、頭痛なども起こります。
子供の場合は、カゼや扁桃腺などの上気道感染から発病することが多いのですが、大人の場合は、浮腫、頭痛、肉眼的血尿などの自覚症状が無く、知らない間に発病することもあるので注意が必要です。放置すると乏尿がひどくなり、高血圧、高熱、けいれんなどを起こして意識を失うこともあります。

 

■治療上の注意点

急性糸球体腎炎の診断がされたら、直ちに安静にします。ことに初期治療の適否がその後の経過、あるいは予後に大きく影響しますから入院治療が必要です。入院期間は順調な場合で1〜2ヶ月ですが、それでも多少タンパク尿が残ることもあります。
また、顕微鏡的血尿がみられても腎臓機能が正常に回復すれば退院となります。大人では退院して2〜3週間の家庭内安静で仕事を始めますが、そこで完全に治ったと考えてはいけません。
というのは、腎臓の組織に起きた変化はかなり長く残るので、少なくとも1年以上にわたって検尿を継続していく必要があります。特に、感染症があると経過に悪い影響を与えるので、その気配を感じたら直ちに治療を受けることをお勧めします。
急性糸球体腎炎の治癒率はこどもで85〜95%、大人で50〜75%とされています。1年以上もタンパク尿や血尿が続いていても、その後完全に治癒する場合もあり、逆に3ヶ月以内にタンパク尿が消失しても、その後再びタンパク尿が出て慢性化することもあります。したがって、1年以上は様子を見ていく必要があるでしょう。

 

Part-3「腎臓の病気とその症状、その2」に続く