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Part-3に引き続き「腎臓の病気」について解説します。

 

■糖尿病性腎症

糖尿病は目や腎臓など、様々な合併症が現れる病気ですが、中でも腎症は目の網膜症と並ぶ深刻な合併症の1つです。腎症が進行すると、末期には腎不全に陥り、透析療法を受けなければなりません。糖尿病による腎不全は年々増加傾向にあり、現在では慢性糸球体腎炎を上回るほどになっています。
糖尿病患者が腎症を合併していても、初期の段階では腎症として特有の自覚症状はまったくありません。しかし、腎症が進むと、糖尿病との合併症、特に脚の痛みやしびれ、立ちくらみなどの神経障害と網膜症が現れます。更に腎症が進行して末期の腎不全状態になると、網膜症も進行して強度の視力低下、及び失明に至ることも少なくありません。
また、糖尿病の特徴的な合併症に、細小血管症があります。腎症は腎臓の糸球体の細小血管症です。糖尿病の治療が不十分であると、全身的な細小血管症と共に腎障害が進行します。腎症は細菌感染による膀胱炎、腎猛炎、腎孟腎炎などをおこしやすく、発熱、排尿時の痛み、排尿後の残尿感などが現れます。
いずれにしても、糖尿病患者の方は、腎症が合併してくることを予期し、定期的な受診を怠ってはなりません。

 

■糖尿病性腎症の診断

糖尿病性腎症の早期診断には、タンパク尿が決め手になります。初期は日によって出たりでなかったりしますが、次第に検査する度に陽性を示すようになります。
タンパク尿量が増加すると、血中のタンパク値、特にアルブミン値が低くなり、低タンパク血症になります。血中のアルブミン値が3.0mg/デシリットルに減少すると、全身に浮腫が現れやすくなります。
また、腎障害のために、尿へ老廃物を排泄する機能が低下してきます。そのためクレアチニンクリアランスが次第に低下し、血中にクレアチニンや尿素などが蓄積してきます。同時に高血圧もでてきます。この状態になると、腎症は相当進行していると考えられます。
更に、血中クレアチニンが6.0〜8.0mg/デシリットルになると、透析療法を考えなければなりません。

 

■糖尿病性腎症の治療

糖尿病から二次的に発生する病気ですから、糖尿病そのものを治療する必要があります。そのため、糖尿病の食事療法と薬物療法で血糖を管理し、良好な状態に維持していれば、腎症の発病を予防し、たとえ発病しても進行を抑えることができます。しかし、腎症がある程度進行してしまえば、それに対応した治療を行う必要があります。
腎機能が低下してくると、一般的には食欲も低下してくるので、食事のカロリー制限をしなくても、食事制限したことと同じになります。
しかし、タンパク質は多く摂ると血中に老廃物がたまりやすくなるので、1日あたりの摂取量を、血中窒素が25〜50mg/デシリットル(正常値は20以下)のときは40〜50g程度(通常は70〜80g)とし、血中窒素が50mg/デシリットルを超えると30g程度に制限を強化します。同時に、食塩も制限が必要になり、3〜5g程度(通常10〜12g)とします。
糖尿病性腎症が進むと、血圧の管理が重要になります。血圧を正常に維持できれば、腎症の進行を遅らせることができるからです。そのため、適切な降圧剤を単独または併用で服用します。
また、糖尿病性腎症の場合は、一般に慢性糸球体腎炎に比べて早期に透析療法を開始した方が良いとされています。その目安は、血中クレアチニンが6.0〜8.0mg/デシリットルに達したときとされています。

 

■ネフローゼ症候群

糸球体腎炎をはじめとする腎臓の病気では、多かれ少なかれタンパク尿がみられます。しかし、タンパク尿の程度はまちまちで、プラス1(+-)のものからプラス4(++++)のものまであります。ネフローゼ症候群の診断基準
しかし、尿タンパクが多量に排泄されればネフローゼといわれます。ネフローゼ症候群の特徴は、このタンパク尿の他に全身の浮腫など、他の症状が揃った場合を指しますが、その診断は表の通りです。この様にネフローゼ症候群は、1つの病気ではなく、タンパク尿や低タンパク血症、高脂血症など、いろいろな病気が原因となっておこる症候群です。

 

■ネフローゼ症候群をおこす病気

原因となる病気には、一次性糸球体腎炎と、全身の病気から二次的に起こる糸球体の病気に分けられます。これらの原因となる病気の治療法は異なるので、医師の確実な診断が必要です。

1.腎炎
ネフローゼを呈する一次性腎炎にもさまざまな種類があり、薬物の効果もそれぞれ異なります。理想的な検査方法は、腎臓の一部を採取し、蛍光抗体法と呼ばれる免疫学的手法を用いてより詳細に診断し、病気の状態を把握することです。
タンパク尿以外に尿異常が見られず、腎機能も正常な場合は小児に多いネフローゼか、リポイドネフローゼと呼ばれる一群の病気、もしくは軽い増殖性腎炎である可能性が高く、副腎皮質ホルモンが良く効きます。

 

2.糖尿病性腎症
糖尿病は糖の代謝異常を主訴とする、全身の代謝異常による病気です。これによって様々な病気が発生しますが、中でも腎炎は目の網膜症、末梢神経障害とともに糖尿病の特徴です。腎症の発病は、糖尿病の罹病期間や網膜の病変の程度とも関連性があると考えられています。
腎症の初期にはタンパク尿も軽度ですが、進行するにつれてタンパク尿の程度も増えてネフローゼ症候群を呈するようになります。また、進行と同時に腎機能も低下することが多く、併せて網膜の病変も高度になります。
ですから、ネフローゼ症候群を呈する糖尿病性腎症は、腎不全となりやすい危険な病気です。しかし有効な治療法はまだ無く、対処療法が行われているのが現状です。
ただ、糖尿病に伴うネフローゼ症候群でも、網膜の病変が軽度であれば、他の腎炎の可能性もあります。その場合は、腎生検によってネフローゼ症候群の原因を確かめます。糖尿病性腎症は副腎皮質ホルモンは効果が無く、使うと糖代謝を悪化させるので使われていません。

 

■腎孟腎炎

腎孟腎炎は腎・尿路感染症の中で、最も重要な腎臓の病気の一つです。現在のところ、腎孟腎炎とは、大腸菌のような一般細菌による腎孟・腎杯を含めた腎実質の感染症とされています。
この病気は女性の患者が大多数を占め、男女比は1対8です。また急性腎孟腎炎は20歳台に、慢性人孟腎炎は30歳以降に多いといわれています。

腎孟腎炎

■原因と発病の仕組み

腎孟腎炎は、大腸菌などが尿道・尿管を上行くして腎孟に至り、腎実質内に侵入することでおこります。それは、尿流障害によって尿路系の防御機構が弱体化したり、尿路系粘膜面に原因細菌が接着しておこるといわれています。
尿細管や腎孟の病変、あるいは尿管以下の尿路を閉塞する結石、また糖尿病や慢性腎炎、妊娠などによって症状を起こしやすくなります前立腺肥大などの泌尿器系の病気や卵巣膿腫や卵巣管炎、子宮筋腫などの患者は、閉塞性慢性腎孟腎炎が合併しやすくなります。

 

■腎硬化症

腎硬化症とは、加齢や高血圧などによって二次的に起きる腎臓の血管病変による動脈硬化症で、良性腎硬化症と悪性腎硬化症があります。

 

■良性腎硬化症

良性腎硬化症は、本態性高血圧と密接な関係があり、腎臓の細動脈を中心に効果が生じたり、加齢による全身性の動脈硬化症の一症状として腎臓の動脈硬化となったものです。それにより、腎臓への血流が減少して腎機能が低下してきます。
肩こり、めまい、動悸、頭重などの高血圧に伴う自覚症状を訴えますが、健康診断で高血圧とタンパク尿が発見されて判明する場合もあります。高血圧の持続とともに、眼底の細動脈硬化症が現れます。
この症状は経過が緩やかで、高齢化に伴って腎機能が次第に低下して腎不全に陥り、透析を必要とするものもあります。しかし、脳卒中、心筋梗塞、心不全などを合併して死に至ることも少なくありません。

 

■悪性腎硬化症

悪性腎硬化症は、腎臓の細動脈の病変によって血管の内膜や中膜が肥厚し、細動脈の壊死や糸球体の崩壊を招きます。そのために血圧を上げるホルモンのレニンの分泌が増加して血圧を上昇させ、さらに血管の病変を進行させるという悪循環を導きます。
血圧は最低血圧が常に120mmHg以上を示し、腎機能は急激に悪化して腎不全となるものが多く、タンパク尿と血尿も認められます。併せて、高度の高血圧のために心肥大や冠状動脈不全もみられます。
治療は良性腎硬化症とまったく異なり、強力な降圧剤を使用して急速に血圧を下げる必要があります。多くは重篤な高血圧のため、腎以外に心臓や脳血管障害を伴うことが多く、入院して安静を保つようにします。1日あたり3〜5gの減塩と同じく30〜50gの低タンパク食を実施します。
この病気は放置すれば脳出血や心不全を生じて、数日あるいは数週間で死亡することがあります。また、急激な腎不全を呈し、透析を必要とする場合もあります。

 

 

Part-5「腎臓の治療法」に続く