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腸肝循環〜コレステロール分解・排泄のメカニズム
(健康医学社社長黒岩裕勇起講演会より)

●腸肝循環とは

腸肝循環腸肝循環とは、腸と肝臓との間で生体物質や化学物質などいろいろな物質が、胆汁とともに循環して行き来する新陳代謝です。腸肝循環のサイクルを図にしてみました。
胆汁は肝臓で生成され、大人では1日に600〜1200ml分泌さえれています。胆管を通って胆嚢に蓄えられて濃縮され、十二指腸に分泌され、腸で再吸収または排泄され、肝臓と腸の間をグルグルと回っています。

 

●胆汁の役割

胆汁の成分胆汁は、黄褐色の弱アルカリ性です。胆汁の主な役割の1つに、膵液、腸液と共に胃酸を中和させ、腸内を弱アルカリ性に保つ役目があります。
そして、胆汁のもう1つの大きな役目は、脂肪分の分解です。食事などで脂肪が体内に入ってくると、濃縮された蓄えられていた胆嚢から胆汁が分泌されます。焼肉など常日頃から脂肪分を多く食べる人は、胆汁が不足しやすくなります。不足すると、肝臓が胆汁をつくりますが、胆汁の生産量は限られていますので、肝臓に大きな負担をかけないような食事を日頃から心がけるようにすべきなのです。

 

●胆汁が排出されるタイミング

胆汁が出されるのは、食事の摂取から1時間後で、2時間後ぐらいでピークに達します。1回の食事で2回の胆汁が分泌されます。更に、完食で脂肪分の多いスナック菓子を食べても胆汁が分泌されます。肝臓での胆汁の産生が間に合わなくなると、非常に影響を受けるのは小腸と大腸です。胆汁が足りなくなると、腸内を弱アルカリ性に保てなくなるからです。底に便秘や下痢、大腸ガンを引き起こす原因があると考えられます。
大腸は糞便をためて排出するところですが、腸内のpHのバランスが崩れた時に「発酵」という過程がうまくいかず、「腐敗」してしまうのが原因でないかと推測できます。

 

●胆汁酸

生体内では、酢酸からコレステロールを作り、解毒酵素のチトクロムP-450によって胆汁酸に変換されます。酢酸の原料は、脂肪酸、グルコース、アミノ酸です。胆汁酸の組成
肝臓に含まれている解毒酵素は、チトクロムP-450で、この解毒酵素の作用でコレステロールから胆汁酸をつくることが出来ます。解毒酵素を高める作用の「イソチオシアネート」がアブラナ科の植物の中に多く含まれています。そのイソチオシアネートが肝臓の解毒作用を活性化します。
胆汁酸は、このほかにも脳にも存在することが最近の研究でわかってきました。しかし、なぜ脳に胆汁酸があるのか、その必要性は、まだ詳しくは解明されていません。おそらくは脳の中で重要な役割を果たしているではないかと思います。ひとつ考えられるのは、胆汁にはタウリンが含まれています。タウリンというのは、脳にかかわってくるアミノ酸です。タウリンがてんかんとも肝経があるという研究報告もあるので、 脳に胆汁が発見されたというのは、そういうものに関わってくるのではないかという推測が出来ます。

 

●ビタミンDと胆汁酸

コレステロールは、ビタミンDの原料になります。腸からカルシウムが吸収されるためにはビタミンDが無ければ吸収されません。そのビタミンDは何から作られるかというと、このコレステロールからなのです。
コレステロールの大部分は胆汁酸に変換されます。ビタミンDは、胆汁酸がないと小腸で吸収されません。ビタミンDが吸収されないと、今度はカルシウムを吸収できません。
胆石などで胆汁の分泌が不足している人は、骨粗鬆症になりやすいとされているのは、このためだと言えるでしょう。

 

●胆汁酸の合計と生合成と作用

胆汁酸は、コレステロールの排出にかかせません。体内で作られたコレステロールの85〜90%は、胆汁酸として体の中を回っています。一部は排出されますが、排出された分は、また作られています。
小腸で吸収されなかった胆汁酸は、大便に排出されます。これを担っているのが肝臓です。肝臓は、過剰なコレステロールを胆汁酸として便に廃棄する役目を担っています。肝臓でつくられる胆汁酸の量は、肝臓にリサイクルされる胆汁酸量によって調節しています。コレステロールから胆汁酸をつくる時に、チトクロムP-450が活躍しています。
胆汁中の胆汁酸濃度が低下すると、コレステロールが集合してしまい結石します。つまり、胆汁酸が不足すると、コレステロールの代謝がうまくいかなくなり、胆嚢の胆石がたまりやすくなります。
統計的にみると、男性よりも女性の方が、胆石が出来やすいようです。
それには様々な理由が考えらます。やはり、肝臓が男性よりも女性が小さく、胆汁酸の分泌量が女性の方が少ない傾向にあるからではないかと思います。
また、胆汁酸は、鉄やカルシウムなどの吸収に関わっています。鉄分不足の女性が多いのもそてに関わってきていると思います。

■胆汁酸の作用

1.脂肪の消化・吸収の促進

●脂肪・脂肪酸・コレステロールを乳化し、膵リパーゼによる分解効果を高める。
●脂溶性ビタミンA,D,Eのやカルシウム・鉄などの無機物質の吸収にも関与。
●腸粘膜に作用して蠕動運動を亢進し、緩下剤様の作用を呈する。

2.消化に使われた酸の中和や、薬品、毒素、有害ミネラル、胆汁色素、コレステロールなどを体外に排出する働きをしている。

3.病気で胆汁がうっ滞し、腸管に胆汁が流れづらくなると、脂溶性のビタミンであるビタミンDが吸収されにくくなり、骨粗鬆症が進行しやすくなる。骨粗鬆症が進むと、脊椎やあちこちの骨がもろくなり、骨折を来すようになる。

 

●胆汁酸の分泌

胆汁酸は、1日に20〜50g肝細胞で生成されています。胆汁酸は、アミノ酸のグリシンやタウリンと結合され抱合胆汁酸になっているため、酸といえども細胞組織を傷つけないようになっています。
グリシンと結合したのものをグリココール酸、タウリンと結合したものをタウロコール酸といいます。肝臓にグリシンやタウリンがいいと言われますが、この抱合胆汁酸に必要なためです。
タウリンは海産物に多く含まれていますが、植物には含まれていません。ただ唯一の例外がアブラナ科の植物です。

 

●化学物質を見分ける腸の能力

腸は体内に取り込まれた物質を即座に識別し、膵臓、肝臓、胆嚢などに指令を出し、適切な分解酵素を出させます。また、食物の中に有毒なものが入っていると、多量の腸液を分泌し、体外へ極力早く排出させようとします。これがいわゆる下痢という防御反応です。
下痢をした時、下痢止めを飲んだことがあると思いますが、体の防御反応に逆行することをしていることになります。
ちなみに、熱が出て解毒剤を飲むのも同様に体の防御反応に逆らっています。風邪をひいて熱が出てすぐに解熱剤を飲んでしまうと、なかなか風邪は治りにくいということがあると思います。それは、体の自然治癒力、防御反応の足を引っぱっているからなのです。ですから、下痢止めや解熱剤をむやみに使用しない方がいいでしょう。
この様に腸は、脳から指示を受けなくても、腸の蠕動運動で勝手に消化して吸収し、糞便を送り出すという仕事をしています。
ですから、腸というのは脳並みの動きをしていると言えるでしょう。

 

●大腸ガンと腸内細菌

2005年の厚生労働省の調査によると、死亡原因で、女性は【胃がん】を抜いて【大腸ガン】がトップになりました。30.4人に1人が大腸ガンで亡くなっていることになります。これは、女性の方が男性に比べて肝臓が小さい、胆汁酸の分泌量が少ない、便秘になりやすいということが大きく影響しているのではないかと思います。

 

●おならが臭いのはバロメーター

1日に腸でつくられるガスが400〜1200mlとされており、腸内細菌が食物を分解したときに出る水素やメタンなど、臭いのないものがほとんどです。しかし、胆汁酸の分泌が十分ではなく、腸内の悪玉細菌が増えると、タンパク質や脂肪分の分解の際に、アンモニアや硫化水素、インドールなどの臭いのあるガスを発生させることがあります。この時、おならは臭くなります。その原因には、高脂肪、高タンパク質の食物の取り過ぎが考えられます。
欧米人は、比較的腸が短いと言われていますが、臭くて少ない便をする人が多いそうです。日本人も細菌は、欧米色が進んでいるため、腸内の悪玉最近の増加によって起こる病が増加しています。
近年の研究で、腸内で悪玉菌が増えると、腸内発酵ではなく、腐敗が進み、それが大腸ガンになる原因になっているのではないかといわれています。
言うならば、おならの臭いが腸内の状態を示すバロメーターであり、おならが臭い場合、自分の食生活を見直すことが健康管理の秘訣になると思います。

 

●コレステロールの代謝

胆汁酸はコレステロールから肝臓で作られています。つまり、コレステロールは、肝臓→胆汁→小腸→肝臓という腸肝循環を行っています。コレステロールが胆汁酸に変換されるには、ビタミンCが不可欠です。ビタミンCは、コレステロールの変換だけに限らず、体内であらゆる機能に必要不可欠の栄養素です。
また、コレステロールはビタミンDの原料としても利用されています。

 

●コレステロールの産生と体内分布

コレステロールは食物摂取で20%、80%が体内で生産されています。体内の様々なところでつくられていますが、主に、皮膚と肝臓でつくられています。
そして、人間では脳や神経系、筋肉などの重要な器官に多く蓄えられています。

 

●コレステロールの排泄

青汁が体にいいと言われているのはなぜでしょうか?それは食物繊維があるからです。では、なぜ食物繊維がいいのでしょうか?
その理由の1つにコレステロールの排泄が出来るからです。コレステロールは、胆汁酸の原料になりますが、分泌された胆汁酸のうち95%が小腸で再吸収されます。
しかし、腸管内に水溶性食物繊維がある場合、胆汁酸や脂肪が絡められ、大半が食物繊維と共に排泄することができます。つまり、食物繊維が、コレステロールを排泄するかしないかを左右しているのです。

 

●胆石

胆石とは、胆汁の成分が固まり、胆嚢・胆管内に溜まるもののことをいいます。
近年、日本では胆石が出来てしまう人が増加しているそうです。高齢者、特に女性に多いとされています。また、糖尿病患者や肥満の人にもできやすい傾向にあります。つまり胆汁酸の生成が少ない人というのが、胆石ができやすいということが考えられます。胆汁酸の分泌を促す、タウリンなどのアミノ酸を常日頃から摂るということが、大切ではないかと思います。

 

●腸肝循環に欠かせないアミノ酸

胆汁酸を腸肝循環させるためには、タウリンとグリシンが必要です。これらのアミノ酸は、胆汁酸を体内で循環利用するために、胆汁酸と結合して抱合胆汁酸を作ります。抱合胆汁酸となってはじめて、胆汁酸が腸と肝臓をグルグルと回ることが出来るのです。いわば、タウリンとグリシンは、コレステロールの排泄と、肝臓で脂肪を分解・排泄するのに必要な栄養素なのです。

 

●肝臓をバンキーと青汁で根本治療

西洋医学では、肝臓病を根本的に治す方法はありません。私は、肝臓病の根本治療にはバンキーが一番いいと思っています。それは、私自身がいい見本だからです。
私は肝臓が弱く、黄疸が出たこともあります。生まれてからずっと体が弱く病気がちでした。当然、お酒は一滴も飲めず、ビール1口でひっくり返っていました。45歳くらいになったときに、青汁とバンキーで2年くらいかけて、徹底的に体質改善を行いました。今はお酒は飲めば底なしといわれ、若い頃の私には考えられないほど、本当に肝臓が元気になりました。
このように、もって生まれた体質をバンキーと栄養療法で根本から改善する事が出来ます。

 

●腸肝循環の健康をまもる青汁の条件

青汁は、食物繊維を含んでいるから腸肝循環にいいとお話ししました。では、青汁に更に、タウリンとグリシンが多く含まれれば、腸肝循環の活性化に働く青汁と言えます。腸肝循環のための青汁の条件をまとめてみました。

1.第2相解毒酵素の働きを高めるイソチオシアネートを含んでいる。

2.タウリンを含んでいる。

●第1相解毒酵素チトクロムP-450の働きを高める。
●胆汁三の分泌を促進する。
●コレステロールの排泄に不可欠である。

3.血中コレステロール濃度を低下させる作用があり、タウリンと同様に胆汁酸と抱合するグリシンを含んでいる。

4.胆汁酸を吸収する小腸の栄養源であるグルタミン(グルタミン酸)を含んでいる。

5.食物繊維が豊富である。

 

●腸肝循環を活性化する雪菜ケール青汁

健康医学社で栽培した雪菜(アブラナ科)、ケール(アブラナ科)、明日葉(セリ科)と静岡県産のワサビ(アブラナ科)に含まれるアミノ酸を分析してみました。

腸肝循環を促進するアミノ酸分析

このように、腸肝循環の活性に必要なアミノ酸が、アブラナ科の植物には沢山含まれています。
グルタミンは、小腸の細胞の修復再生に必要なアミノ酸で、グルタミン酸は体内でグルタミンに相互変換しています。セリンからは、体内でグリシンに変換されます。

 

●おしまいに

健康ブームが起こってから、多くの種類の青汁が市場に出ていますが、青汁の善し悪しをどこで判断するのか、よく考えて選んで頂きたいと思います
中には明日葉を原料にしている青汁も市販されているので、明日葉も栽培し、分析してみました。上表のように、明日葉に含まれるアミノ酸が少ないことが、一目瞭然でわかりますね?これを青汁の原料としても、腸肝循環の代謝を促進するという意味では、効果は期待できないと思います。やはり、腸肝循環のための青汁であれば、雪菜やケールのようなタウリンとグルタミン酸の量の多い素材の青汁を選ぶべきでないかと思います。
特に、高齢の方、女性の方など、胆汁の分泌量の少ない方は、胆石、便秘、大腸ガンを防ぐためにもタウリン、グリシンが多い青汁で、健康管理をしっかりして頂きたいと思います。

(月刊健康医学「2010年9月号」掲載記事より)