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花粉症

体内に花粉などの異物が入ると、くしゃみで吹き飛ばしたり涙や鼻水で洗い流そうとする「免疫反応」が起こります。この免疫が過剰に反応するのが「花粉症」です。
花粉症は成人してから発症する人が多く、花粉症以外のアレルギー疾患をもっている人や、家族に何らかのアレルギー疾患を持っている人は花粉症になりやすいと言われます。風邪の時は鼻の粘膜が炎症を起こしていることが多いので、免疫反応が過剰になります。
花粉症治療で比較的多く用いられている減感作療法でも、現時点で完治する率は決して高くありませんし、また副作用の問題や治療に長い期間がかかるため、現在も新しい減感作療法の研究が進められています。
厚生労働省は、花粉症を発症しないための対策として「マスク」「うがい」「洗顔」「眼鏡」「帽子」「花粉がつきにくい衣服の着用」を推奨し、花粉症がひどくならないようにするには「睡眠を良くとる」「良い生活習慣を保つ」「風邪をひかない」「お酒を飲み過ぎない」「タバコを控える」をあげていますが、決定打にかけるのが実情です。
花粉症の治療法は、大きく分けて以下の5つの治療に分類されます。

1.抗原回避療法
マスク・帽子・眼鏡を使う、花粉の飛散量の多い日は外出を控える、外に布団を干さないなど、「花粉に接触しないように」する方法です。

2.薬物治療法
点眼薬や点鼻薬を使う局所療法や、内服薬を使う全身療法があります。抗ヒスタミン剤やステロイド剤を主に使いますが、ステロイド剤の筋肉注射は副作用が大きく、ステロイド剤を使うときは局所への点眼・点鼻が多く使われます。ステロイド剤の点眼は眼圧の上昇を引き起こすこともあり、他に眼の症状がある場合は特に注意が必要です。血管収縮薬の点鼻は、鼻の血管を収縮させることで花粉を入りにくくしますが、使いすぎると血管が薬に反応しなくなってしまい、逆に拡張し続けるので、症状がひどくなってしまいます。血管収縮薬は市販の点鼻薬にも含まれているので、使い過ぎには注意が必要です。
抗ヒスタミン剤は免疫反応を抑えるために使いますが、服用後に眠気という副作用が出るので要注意です。また、長期服用では「やる気が出なくなる」「学習意欲の低下」「労働意欲の低下」なども指摘され、この様な副作用の少ない抗ヒスタミン剤の開発も進められています。
中には心臓への副作用を引き起こす薬もあるそうですので、それらの副作用の確認をしてから使う方が良いでしょう。

3.減感作療法
「抗原特異的な免疫療法」とも呼ばれ、「花粉に慣れる」療法です。花粉の抽出液を注射し、徐々に濃度を上げて花粉に対する体の免疫反応をコントロールしていく療法で、体質改善をすることで花粉症を治療します。最低2年以上の継続治療が必要です。

4.手術療法
レーザーを使って鼻の粘膜を焼いて、アレルギーの発生箇所を減らします。通常は1年〜5年は効果が持続しますが、根本的な治療ではありません。

5.その他の民間療法など
睡眠をきちんと取る、規則正しい生活のリズムを身につける、飲酒や喫煙を控えるなど、生活習慣に気をつけることも花粉症には有効です。民間療法やサプリメントでも「花粉症対策」が紹介されていますが、中には安全性に疑問のある療法もあります。花粉症治療は、効果が出るまで長期間必要です。そのため、サプリメントも体に害の少ない、原料製法が安全なものを選びたいものです。

サプリメントの研究では、「ケールを原料とする青汁には、抗体反応を起こす物質を過剰に作らないようにコントロールする作用がある」事もわかってきました。また、ビタミンCやマグネシウムが不足すると、血中ヒスタミン値が上昇する事も言われていますので、このような栄養を積極的に摂ることは、花粉症対策として有効だと考えられています。

鼻の粘膜に花粉がつくと、肥満細胞の細胞膜にあるIgE受容体に花粉が付着します。すると受容体が肥満細胞を刺激して、ヒスタミンを分泌、ヒスタミンはくしゃみや鼻水を発生させて、粘膜についた花粉を吹き飛ばします。肥満細胞がヒスタミンではなくて、ロイコトリエンを分泌すると鼻づまりになります。(※肥満細胞は太って見えるのでそう呼ばれていますが、脂肪細胞ではありません。)
この働きは「外からの異物を排出する」ために必要な免疫反応で、体をまもるためには欠かせません。ところが、花粉症の人は肥満細胞にIgE受容体が多く、通常よりも多くのヒスタミンを分泌するので、くしゃみや鼻水が激しく発生します。
花粉症改善の鍵は「IgE受容体」が握っているのです。この「IgE受容体」を作るための物質が「IL-4」と呼ばれる物質で、IL-4はリンパ球にIgE受容体を作らせます。花粉症を根本的に治療しようとすると、IL-4やIgE受容体を過剰に作らない(必要な量だけつくる)ようにしなければなりません。
最近の研究では、ケールに含まれる成分がIL-4の産生を抑える効果があることがわかってきました。他にもビタミンCは血中ヒスタミン値を低下させること、マグネシウムが不足すると免疫作用を活動的にして、過剰なヒスタミンを分泌することもわかってきました。

花粉症の人はタンパク質の過剰摂取は控えるべきです。これは、タンパク質がアミノ酸に分解される途中の「ペプチド」の段階で吸収されると、抗体反応が起きるため、花粉症の人は過剰に反応してしまうからです。ところが、正常な免疫細胞を作るにはアミノ酸は欠かせない栄養素の一つです。アミノ酸サプリメントなどを活用して、十分に正しい免疫細胞を作るようにしなければいけません。そのためにもバランスの良いアミノ酸は欠かせないのです。動物性のアミノ酸は抗体反応が起こりやすいので、植物原料のアミノ酸が良いでしょう。反面、粗悪なアミノ酸では肝臓に負担がかかったり、抗体反応を起こすことがあるので注意が必要です。
どうして成人してから急に花粉症を発症する人が多いのでしょうか?。これには、私たちの体が持つ免疫力が大きく関わっています。
体内に入った異物(抗原)に対して、どのような抗体が対応するかは決まっています。1種類の抗原には1種類の抗体しか効果がありません。体は自分以外の物質を全て抗原として対応しますから、想像できないほど多数の抗体が必要になります。初めて体内に入ってきた物質は、免疫細胞が分解→分析することで、どのような抗原にはどのような抗体が必要かを学習していくのです。
通常の生活では数々の物質(異物)に遭遇するので、その度に学習し、体内に「抗原抗体のデータベース」を作り上げていきます。その場合、体にあまり害のない物質(例えば花粉)なら、その物質に遭遇しても抗体を作りません。ところが間違ったデータベースを作ってしまうと、通常では害のない物質でも抗体を作り、過剰な免疫反応を起こし、それが花粉症などのアレルギー疾患を発症させるのです。

間違った「抗原抗体データベース」を作る原因の一つに「行き過ぎた消毒・殺菌の生活習慣」があります。どういう事なのでしょうか?。
免疫細胞は、生まれた瞬間から抗原抗体の学習をするのですが、学習するには教材が必要になります。免疫にとっての教材というのは、自分以外の物質です。例えば土壌には数え切れないほどの菌がありますから、土に触れ、体内に入った菌(異物)は免疫細胞が分解し、菌の構造を調べ、有害か無害かをデータベースに追加します。ところが全く土に触れない場合、抗原抗体データベースには「土壌に含まれる菌に関してのデータ」を集めること(学習)が出来なくなってしまいます。
身の回りの物には、私たちの体に有益・有害を問わず、何らかの異物や菌が付着しています。それらの異物に触れることで免疫細胞が学習し、抗原抗体データベースは充実していくのです。身の回りを全て殺菌してしまうと、体は異物に対しての学習が出来なくなります。清潔にしているはずが、免疫細胞の学習を邪魔する結果になっているのです。
ところが、教材が少ない環境でも免疫細胞は学習を続けます。すると、数少ない教材で学習する弊害として、通常は無害な異物でも抗原抗体データベースに追加してしまいます。そのデータベースがきちんと機能するはずの成人になってから、抗原抗体データベースが間違ったデータを持っている事に気が付くのです(花粉症の発症)。この間違ったデータが花粉に反応してしまうのが花粉症で、花粉の種類によって反応が異なるのは、このデータに違いがあるからです。間違ったデータを修復しようとするのが「減感作療法」ですが、2年以上の時間が必要な上、確実にデータが修復できるとは限りません。アレルギー疾患の多くは、暇をもてあました免疫細胞が起こす、一種のいたずらなのかも知れません。

ところで、アレルギー疾患の人が肉類を制限するのは、肉のタンパク質が体内で分解するときの中間物質「ペプチド」の状態で体内に取り込まれると、異物(抗原)として反応してしまうからです。ペプチドからさらに分解が進んで、アミノ酸にまで分解されると抗原にはなりません。だから分解されにくい肉や卵は避けるべきなのです。ですが正しい免疫細胞をつくるにはアミノ酸が不可欠です。ペプチド状態でない「遊離アミノ酸」で吸収できる、アミノ酸サプリメント等の補給も免疫力を助けます。
自然の豊かな地域よりも都市部にアレルギー疾患が多いのは、都市部では免疫細胞が正しい学習が出来る環境が少ないからです。本当は正しい学習をしたがっている免疫細胞に、正しい抗原抗体データベースを作ってもらうためにも、自然は大切な学校なのです。不潔にする事は体にダメージを与えますが、行き過ぎた消毒は体にとって逆効果なのです。

株式会社健康ライフ 田中智

季刊情報誌「霧島黒酢通信Vol.3」より