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経穴経絡②「督脈」

今回からそれぞれの経絡経穴について解説していきます。今回は「督脈」です。
督脈の流注(るちゅう)は、胞中(小骨盤腔)から始まり、会陰部に出て、後正中線上(背部の椎骨に沿った垂直線)を上り、後頭の隆起直下〔風府〕に至って脳に入ります。さらに、頭部の正中を通り、頭頂部〔百会〕に上り、顔面部正中を経て上唇小帯の接合部で終わります。ここで任脈と会します。陽経脈を調整・監督し、陽脈の海と呼ばれます。
吸玉・カッピングをご愛用の方は背部診断点として利用されている方も多いことと思います。但し、高齢になって来ると痩せてきて筋肉が落ちてきます。背部椎骨上の筋肉が少なくなってしまって、吸着具をつけて骨が痛いときは無理をしないようにしましょう。
また、説明上、細か過ぎる部分や○寸△分という表現がありますが、背部であれば大きい吸着具で大抵カバーしてしまいます。

【背部編】
②腰兪・・・仙骨裂孔部。
③腰陽関・・左右の腸骨稜(腸骨の最も高い所)を結ぶ線と脊柱との交点 、または第4・第5腰椎の間。この腸骨稜を結ぶ線はヤコビー線と呼ばれ、治療や体表観察での目印としやすいポイントです。外方1寸5分に大腸兪があります。
④命門・・・左右の第12肋骨先端を結ぶ線と脊柱との交点。但し、第12肋骨の長短は個人差があります。または第2・第3腰椎の間。外方1寸5分に腎兪があります。
⑤懸枢・・・第1・第2腰椎の間。外方1寸5分に三焦兪があります。
⑥脊中・・・第11・第12胸椎の間。外方1寸5分に脾兪があります。
⑦中枢・・・第10・第11胸椎の間。外方1寸5分に胆兪があります。
⑧筋縮・・・第9・第10胸椎の間。外方1寸5分に肝兪があります。五臓の色体表で「五主」を参照下さい。肝と筋のつながりが深いことが分かります。
⑨至陽・・・第7・第8胸椎の間。
⑪神道・・・第5・第6胸椎の間。外方1寸5分に心兪があります。五臓の色体表で「五精」を参照下さい。心と神のつながりが深いことが分かります。
⑫身柱・・・第3・第4胸椎の間。外方1寸5分に肺兪があります。
⑭大椎・・・第7頸椎・第1胸椎の間。第7頸椎は首を前に傾けた時、一番高く触れる骨です。すべての陽経はこの大椎を通りますので、治療上の重要点です。

【頭部・顔面部編】
⑮瘂門・・・後頸部、後髪際のやや上方。
⑯風府・・・後頸部、外後頭隆起の直下、左右の僧帽筋間の陥凹部。
⑰脳戸・・・頭部、外後頭隆起上方の陥凹部。
⑳百会・・・頭部、左右の耳の上角を結ぶ線の中点。
上星・・・頭1部、前髪際の後方1寸。
神庭・・・頭部、前髪際の後方5分。
水溝・・・顔面部、人中溝の中点。鼻から天の気、口から地の気、そしてその中間に人中があります。これは、天があって地があって、その間に人がいるという天地人三才思想を顔に捉えたものと考えられます。

霧島黒酢の東洋医学講座 督脈(督脈)

いかがでしたでしょうか?背部は、ピンポイントで治療するのであれば、背部椎骨を目安にできますが、全体治療とするならば、腰兪から大椎までをカップで埋めるというやり方もできます。これであれば、吸着した後で反応が出たところを調べればツボが分かります。
頭部も重要なツボがありますから時々は治療するようにしましょう。連続吸引は電動吸引機の最大の利点でありますから、頭をスッキリさせて気持ち良くお過ごしください。注意点は頭部や上背部だけに吸着が集中してしまうと、のぼせてしまうこともあります。一度につけるカップ数を少なめにしたり、足部にもつけて偏らないようにしましょう。
西洋医学的に見ても、督脈はその流注から呼吸・循環・消化・泌尿の各器と繋がりがあることがわかります。バランスの良い治療と栄養補給で、諸陽経を整えましょう。

ひまわり鍼灸院 廣井良宣

季刊情報誌「霧島黒酢通信Vol.3」より